リアルタイム最適制御

研究の目的

リアルタイム最適制御

実システムには様々な形で制約が存在します(実験で習ったであろうセンサやアクチュエータなどの飽和特性がその最も身近な例でしょうか). こうした“制約(もしくは拘束)”もダイナミカルシステムの挙動を複雑かつ多様なものにする大きな要因となります. 近年“モデル予測制御”が,こうしたシステムに対する(唯一の?)リアルタイム制御手法として注目されています. この手法は,(かなり乱暴に言うと)各時刻において,ある一定時間後までの挙動を最適化する入力を入れ続けるというものです.

このモデル予測制御が実用的な制御手法となるための最大の障壁が,各時刻における計算量です. つまり,この制御方策をより複雑な環境もしくはより高精度な制御が要求される状況に適用するには,各時刻で複雑な最適化問題を解く必要があり,最新の計算機の処理能力でも十分とはいえません (実際,高性能のクラスタを用いてシミュレーションを行っています). この問題に対して,計算機の処理能力がさらに向上するのを待つ,もしくは数理計画の専門家が高速のソルバーを開発するのを待つ,私たちにできるのはこれだけなのでしょうか.

(少なくとも我々の)答えはNoです. なぜならモデル予測制御に現れる最適化問題はしばしば特殊な構造をもち,さらに我々はこれらの最適化問題と実際のダイナミクスとの間の関係を解析するためのツールを既に多くもっているからです. つまり言い換えると,ダイナミクスの挙動というグローバルな目標を考慮しながら,適切にローカルな最適化問題を設定し解くということが求められており,制御理論とその周辺分野を融合することで大きな進展が見込めるということです. 例えば本課題では,上で述べたような特殊な構造を陽に生かすことで,制御性能を妥協することなく,大幅に計算コストを軽減できるアルゴリズムを提案しました. さらにこのような観点に加え,並列アルゴリズムや時間分解能という新しいキーワードのもとで研究を進めていきます.

研究テーマ