井村研を希望する学生へ

「機械の制御」から「新領域における制御」へ

制御工学研究の流れ

時代のニーズに伴って、制御工学が思い通りに操ろうとする「対象」は様々な分野に拡大しつつあります。 それらには何らかのルールに従って時間発展するという共通点がありますが、これは「制御対象」に課されるたったひとつの条件なのです。

現在、生物における遺伝子ネットワークや原子の量子的な振る舞いなど、信じられないほど多様なものに対しても、その時間発展ルールが見出され、それにもとづく解析/制御手法が求められています。 人間の脳における情報処理メカニズムですら例外ではありません。 私たちは、制御の立場からこうした新領域に挑むには、今が絶好のタイミングだと考えています。 そのためには、これまでとは比べものにならないほど大規模で複雑な挙動を示す制御対象に対しても威力を発揮する新しい制御理論の構築が必要なのです。 こうした夢を抱いて、具体的に進めている研究の一部をここに挙げます。

研究テーマ:新領域における制御理論の構築

制御理論と関連分野
1. 太陽光発電の予測不確実性を許容する超大規模電力最適配分制御
エネルギー工学・電力工学との境界
2. システムの特別な構造を保存したモデル低次元化とその応用
複雑系科学・近似理論との境界
3. ネットワーク構造に着目した動的システムの解析と制御
ネットワーク科学・複雑系科学との境界
4. 制御工学的アプローチに基づくシステムバイオロジの研究
数理生物学との境界
5. ハイブリッドシステムの解析と制御
人工知能・計算機科学との境界

研究スタイル:異分野の専門家と共同して、新しい制御理論の構築を目指す

新領域における制御に関する研究の特徴として、最終結果がわかりやすい形で目に見えるものであるとは限らないということが挙げられます。 例えば、上記の5.の場合だと、特殊な数理計画問題に対する高速ソルバーが最終形かもしれません。 もしくは、3.や4.の場合、理論の検証に必要な実験環境が、手軽には構築できるものでないことは想像に難くないでしょう。 こうした状況においても、意味のある問題を設定し、各分野のニーズに則して得られた結果を適切に評価するために、私たちはその分野の専門家と協働して、 解析・設計をサポートする理論構築のプロとして貢献するという研究スタイルをとっています。 こうした形態のプロジェクト研究は、今後もますます活発になっていくと考えられます。

教育スタイル:新しい研究領域に挑戦する志をもった研究者・技術者の育成を目指す

既に成熟している分野ではなく、新しい領域に挑戦していくことは容易ではありません。 しかしながら、その分だけやり甲斐のある研究スタイルであるといえます。 このためには、研究を進めるための問題提起・問題解決能力だけでなく、異分野の人との意見交換などには、適切なコミュニケーション能力が必要となります。 こうした取り組みの経験は、卒業後の進路に関わらず、皆さんの将来に必ず役立つはずです。(卒業生の進路

また、修士課程の間に少なくとも一度は学会で発表することを推奨しています。 これは、理系の学生として、論理的な文章を書く訓練や、説得力のあるプレゼンテーションを行う訓練をしっかりと積んでから卒業して欲しいからです。 良い研究成果が出れば、国際会議での発表も積極的に行っていくので、是非とも頑張って下さい。 実際に、数多くの学生が、国内・海外の学会や論文誌において研究成果を発表しています。(発表論文受賞など

それでは、最後になりますが、これまで学んできた制御に関する知識を新しい分野に生かしたいという意欲をもった学生が来てくれることをお待ちしています。

FAQ

Q1. 私は機械好きなのですが、この研究室は向いていないのでしょうか?

好きにもいろいろありますが、「ただハードウェアに触れていたい」というのであれば、その欲求をここでの研究だけで満たすことは不可能でしょう。 しかし 、「人間のような動きを実現するには?」とか「小手先の工作ばかりではただの趣味」と感じているのであれば、理論的な観点から、新たな駆動原理などを模索することも面白いのではないでしょうか。 人間などの様々な動作を支える原理・情報メカニズムを明らかにし、逆にそれらをいわゆるモノづくりにフィードバックすることで、新たなブレイクスルーが得られるのであれば、素晴らしいことだと思います。 実際に、過去の博士課程の学生には、「ロボットへの愛」を理論探求という形で表現し、二足歩行ロボットの研究を行っていた人がいます。

Q2. 研究室の雰囲気、ゼミなどの頻度・形式はどのような感じですか?

研究室がある建物は、教務課などの事務も入っている西8号館です。 東工大の学生の皆様はご存じのとおり、きれいな新しい建物ですし、生協も目の前なのでとても便利です。 学生室の雰囲気は、基本的にみんな仲が良く、度々飲み会などが開かれます(仲が良すぎて研究が進まないのも考え物ではありますが)。 研究室メンバーのページにある写真は、協働している早川研・中臺研と共に、年に一度行われるバーベキューのときのものです。 これには、毎年OB・OGの方も多く参加されています。

ゼミに関しては、B4とM1が主に発表する、週に一度の輪講を基本として、早川研・中臺研との合同研究報告会が年に数回あります。 もちろん、日々の研究の進捗状況は、個別ミーティングという形で適宜報告してもらいます。 わからない箇所があっても、自分なりに考えて理解したところまでをしっかり発表・報告できれば、互いに意見を出し合いながら研究を進めることができます。 ただし、準備不足は不可です。(具体的な研究の進め方について